無気力でなにごとにもしらけた態度をとるところから「しらけ世代」とネーミングされた世代があるのをご存じでしょうか?
「しらけ世代」とは、概ね1955年生まれ前後の人です。しかし正確な基準はなく、1964年生まれまで影響を与えているようです。
「しらけ世代」は日本が1番景気も良かったバブル時代のことを良く知っています。現在では考えられない羽振りのいい時代の話しを耳にしたことはありませんか?
そこで今回は「しらけ世代って何?」と疑問を持つ方に特徴・性格・嫌われる理由について解説します。
目次
しらけ世代とは
しらけ世代より上の世代のことを団塊世代といいます。団塊世代が若者だった時代は、学生運動が盛んで政治への反発に火花を散らし抗議していました。
しらけ世代は、学生運動が沈静化された頃はまだ中学生前後でした。
それまで、火花を散らすほどに若者が政治に対し抗議をしても結果何もかわらなかったことを目の当たりにしたのが、「しらけ世代」です。
このような理由から政治に対し関心が薄れ「しらけ世代」と呼ばれるようになりました。
「しらけ世代」は無気力 無関心 無責任という3無主義を表しています。
当時大流行したフォークソングの歌詞は、貧乏四畳半暮らしと社会に関心がなく恋人とただゆっくり暮らすという歌詞とゆったりとしたメロディが当時の若者を表しているようです。
何事にも熱くなっていた「団塊世代」とは対照的な世代といえるでしょう。
しらけ世代の特徴
しらけ世代の人達はバブル時代をめいっぱい楽しんだ世代です。
リーダータイプの多い団塊世代やその上の世代に可愛がってもらいつつも、今でいうセクハラ・パワハラが当たり前のこともじっと耐えていました。
時代の流れと共に、いろいろなエンタメを楽しみ始めた新しい世代といえる「しらけ世代」の特徴を紹介します。
初代オタク
しらけ世代の子供時代頃から家庭用テレビが普及し始めました。1960年代前半に手塚治虫作品から赤塚不二夫・藤子不二雄作品などが次々と放送を開始しました。
他には怪獣ものや月光仮面がブームになり、現実ではありえない世界を思春期で楽しむ時期を送ります。
この世代が今でいう「オタク」を作り出した世代といえます。
偏差値重視
この世代が思春期だった1970年代には、高校進学率が80%を越えました。それまでは貧しい生活で育った子供ではなくても、中学を出たら40%の子供たちは集団就職をしていました。
進学をする子供が増えると、教育に熱が入るようになります。進学校へ入るためそれまで気にしていなかった偏差値重視をする世代になったといえます。
定年後は遊びたい
どちらかといえば個人主義で冷めた人が多い「しらけ世代」の人は、定年後はゆっくり過ごしたいと思っています。
何十年と働いてきたことや自身の衰えを自覚しているので難しい仕事・体力のいる仕事は年下の若い人に任せたいのです。
60歳を過ぎてまで社会の一員として活躍しなくていい、ここからの人生は自分の好きなことをして過ごせればそれでいいのです。
熱量を感じにくい
口調も穏やかで話しかけやすく協調性があるので、上司には忠実・部下からは慕われやすい人です。
責任感の強い人や生真面目な人からみると、のほほんと手を抜いているように見えます。「やる気がないの?」と誤解されることもあり、「働かないおじさん・おばさん」と噂されることもあります。
年齢の差を気にせずコミュニケーションを取る
「しらけ世代」の人達は年齢を意識せず、年の離れた年下の人とでもコミュニケーションを取ります。
自分は年上・先輩と威厳を保とうとせず、お互いの壁がなくなると年齢関係なく飲みに行くことや、趣味を一緒に楽しみます。
若い人との交流を自ら楽しむ世代といえます。
しらけ世代の性格
「しらけ世代」の人は基本的に優しく穏やかな人が多いなと感じませんか?
日本が1番お金持ちだった時代を謳歌できたことで、心が豊かに過ごせたからでしょう。
ここでは「しらけ世代」の性格について解説しますので、この年代の性格を知りたい人は参考にしてみて下さい。
穏やか
しらけ世代が思春期頃に「あさま山荘事件」が起こりました。
それまで学生が政治に対し猛烈に抗議をしていましたが、学生同士でも乱闘が起こることもありました。こうした闘争をしても結果に意味がないことを目の当たりにした彼らは争うことに嫌悪感を抱きます。
このような経験から、争いごとを嫌う穏やかな性格になったのです。
コミュニケーション能力が高い
日本人は年上・年下を気にして年の離れた人と仲良くすることをお互い躊躇する傾向があります。
組織の中に安泰におさまっていたい人なので、我を通さず周囲の人と合わせて接します。
定年後、若者の多い職場に派遣で働きに行き年齢の壁を作らずコミュニケーションを取ります。
無責任
少々受け身でいるので無責任な性格といえます。
例えば転勤が決まって後継者にきちんと仕事の引継ぎをしないことや、途中でやりかけたままそのまま引っ越してしまい残った人達はてんてこ舞いになることもあります。
自分の意見をいう事や計画を立てるのが苦手であることが原因です。
マイペース
しらけ世代はその名の通り「しらけている」ので、冷めた一面も持っています。
組織の中でのコミュニケーションは大事にしますが、個人主義なところもあるので1人の時間を大事にします。
冷めた人はマイペースな性格なので、1人の時間を大事にします。食べたいと思えば1人で外食にも行きライブも1人で楽しむことができます。
親切
親切な性格なので、困った人がいたら手を差し伸べて助けられる人です。
悩んでいる人がいたら、きちんと膝を付き合わせ耳を傾けます。見返りを求めることはせず、嫌な仕事でも頼めばやってくれます。
相手を喜ばせること・こうなれば楽になるだろうと思うことを考え行動に移せる人です。
しらけ世代のことが嫌いな人の理由
優しく穏やかなのに、なぜか一部では嫌われてしまう「しらけ世代」に、あなたはどんな所が苦手と感じますか?
ここでは、しらけ世代のことが嫌いな人の理由を集めてみました。
「周囲の人たちに距離を置かれてる?」と心配になっている「しらけ世代」の人は参考にしてみて下さい。
想像力・発想力が鈍い
ミスしても悪ぶることなくどこ吹く風でいるところが「嫌いだ」と思われる理由です。
しらけ世代の上の人は日本経済を上昇させた世代なので、しらけ世代の人達はその下で無難に過ごすことができました。
温室育ちのこの世代にとって、発想力・想像力を培うことなく年齢を重ねてしまったのが理由です。
そのため、「なんとかなるだろう」と無難にやり過ごそうとするのです。
バブル自慢がウザい
「しらけ世代」が就職したころの日本企業はバブル景気の波に乗って急成長する時代でした。
当時、若い年代だった彼らにとって重要なポストにつく年代ではありません。
しかし、非常に景気のいい時代だったので銀座・六本木で飲んだり踊ったりしても費用はすべて会社持ちでした。
若い時代にバブルの恩恵にどっぷり浸かった経験から「当時は飲みに行っても財布なんて開けたことなかった」とシレッと言って、氷河期世代以下の人達を「しらけ」させるのです。
「柳に風」で危機感がない
バブル崩壊後は主に「しらけ世代」が定年していく団塊世代と世代交代します。会社が用意してくれたポストにすんなり収まることができたため、仕事に対して精力的になれないまま管理職になりました。
危機感が少なく、笑ってごまかすこともあり真摯に受け止めない姿にヤキモキさせられることがあります。
自己流で動く
コミュニケーションを大事にして周囲に合わせるのでオフタイムでは穏やかで優しいので人気があります。
しかし、急ぎの仕事なのに急いでやろうとせず自分なりにやってしまう傾向があります。
たまに納期を勘違いしていても、「ここの企業は1日くらいなら何とかなるから(笑)」と苦しい言い訳をするところがあります。
八方美人だから
誰にでもいい顔をする八方美人なところに眉をひそめる人もいます。
表向きはいつも笑顔なのに人の悪口を言うこともあり「案外こんなこと思う人なんだ」と警戒させることがあります。
八方美人とばれてしまった人からは、表では上司には媚びを売る「あざとさ」を感じ信頼を失います。本当の友人ができにくいこともあります。
しらけ世代で知られる有名人
ここでは「しらけ世代」の有名人を紹介します。
特徴で紹介したように穏やかな印象の方が多いのですが、その中でもここで紹介した特徴・性格を踏まえていると納得できた3人です。
冷めている・無責任といわれる「しらけ世代」ですが、仕事への情熱・人への愛を感じさせることが分かる方々です。
桃井かおり
桃井かおりさんはマイペースで自己流に生きている感じがします。
いい感じで脱力感がありふわふわしているイメージですが仕事にはとても厳しい方です。
妥協を許さずたびたび共演者やスタッフと衝突するのも、「自己流で仕事をしたい」という意識の強さからでしょう。
具志堅用高
「しらけ世代」ど真ん中である具志堅用高さんは現在では天然キャラを生かしバラエティー番組で活躍されています。
ボクシング選手であることは有名ですが、具志堅さんは伝説の世界チャンピオンと言われその名を残しています。
強さの秘訣は「沖縄愛」でした。沖縄が日本に返還されたのは1971年です。具志堅さんが勝つたび日本本土から沖縄への偏見が薄れていきました。沖縄出身の人が喜ぶ姿を「原動力」にしていたのが分かります。
明石家さんま
明石家さんまさんは裏表がなく、大物俳優から一般の人に対してほとんど態度を変えない方です。
お箸の包み紙に快くサインをすることや、大人しいファンに自ら声をかけ一緒に写真を撮ったというエピソードがあります。
さんまさんのもともとの性格ともいえますが、情が厚く親切で困った人がいたら見ないふりをしない「しらけ世代」という特徴をふまえています。
「しらけ世代」は豊かな日本で育った「育ちのいい人々」
「しらけ世代」について特徴・性格などを紹介しましたがいかがだったでしょうか?
氷河期世代より下の世代にとって、会社のお金で飲んで交通費まで支給されたなど驚くことが多かったのではないでしょうか?
「貧すれば鈍する」と反対に、豊かな時代を若い年齢で過ごせたことで「心が穏やかなゆとりのある大人」になったのでしょう。
育ちの良い人は顔に出るのか「しらけ世代」の人達はチャーミングな笑顔が魅力的です。
しらけ世代が苦手だと感じても、豊かな時代が作った「おぼっちゃま・お嬢様」と思うと妙に納得できませんか?
とても優しい「しらけ世代」の人でもあるので、困ったときは相談してみましょう。手を差し伸べてくれますよ。