スロースターターと聞くと、スポーツでいえば後から本調子になって挽回して行く人に使う言葉ですが、仕事に関しても「スロースターターな人」と呼ばれる人もいます。
最初は要領が掴めず、オロオロしてしまい素早い人から疎まれてしまうこともあるでしょう。
しかし、さまざまな仕事を覚え吸収し、後から大きな戦力となる可能性のある人かもしれません。
今回は周囲にいる職場の人や家族のスロースターターな人を取り上げ、長所・短所から付き合い方まで解説します。
また、スロースターターな自分を変えたいと思う人へ改善方法や向いている仕事まで紹介します。
自身がスロースターター、もしくは身近な人がスロースターターでヤキモキしている人は是非参考にしてみて下さい。
目次
スロースターターの意味とは
スロースターターの意味は「出だしの遅い者」のことをいいます。
スタートダッシュが早く早熟な人とは反対に、本調子になるまで時間のかかる人をいいます。
ゴルフプレーヤーで例えれば前半いいショットが無く、後半になるに従いいいショットが次々と出て結果良いスコアになったように、後から本調子になるこという意味です。
時間が経てば高い能力を発揮する人を指すので、「大器晩成」に言葉の意味としては似ています。
ただし「大器晩成」は人生の上で徐々に上がっていくので長期的です。
スロースターターはゴルフや野球の1試合の内、後半に調子が上がって逆転します。
大器晩成よりも短期間の間で調子が上がる、という意味です。
スロースターターの特徴
スタートダッシュの早い人と比べ、カメの歩みのようなスロースターターの人。
最初は他の人よりも出遅れてしまっても、見えないところで努力をして追いつきます。
スタートが遅いがゆえ、どうしても始めの方は「のろま」「要領が悪い」ように見えてしまうようです。
ここでは、スロースターターの特徴について解説します。
仕事が長続きする
仕事の要領を掴むまで時間がかかり先輩に叱られることが多い人です。
しかし、地道に一歩ずつ前進し忍耐強い性格なのでめげません。同期が先に出世することになっても悔しさをばねに変えて頑張るので簡単に仕事を辞めません。
また、同期や後輩が先に退職することも多く気が付けば勤続年数が長く叱られることもなくなっていきます。
「継続は力なり」といった言葉にピッタリな人です。
テキパキ動くことが苦手
テキパキ動くことが苦手です。
せっかちな人から見ると、少々イラつかせてしまいます。慣れるまで時間がかかるので、仕事を始めたばかりの頃は要領が悪く見えてしまうでしょう。
手先があまり器用ではないことを自覚しているので、ミスしないよう慎重に作業します。なので、どうしても他者より遅くなってしまいます。
眠りから目覚めたあと安定しやすい
スロースターターはスタートダッシュで乗り遅れてしまいます。スタートが同じ人と比べるとどうしても劣ってみえるかもしれません。
スロースターターは思想深く慎重に考えるので、覚えるまで時間がかかります。しかし、知識がいっぱいになるころにはたくさんの知恵の根が生えているので一気に挽回できるのです。
さなぎの時期が長い蝶と例えられる人もいます。
自分から異性に告白ができない
男性も女性も異性に対して非常に奥手です。
いろいろ考えすぎるのか、軽い雑談さえもどのタイミングで声をかけたらいいのか解からないのです。
いいなと思う人がいても、悪い方に考えてしまい「下手に動いて傷つくより遠くで見ているだけでいい」と動けずにいます。
告白していたら付き合っていた相手にも告白できず、後から「実は両想いだった」ことで残念に思うこともあります。
説明することが下手
伝えることが苦手なので、何か説明しても意味が解り難いことがあります。
相手に伝えたいことが頭の中でまとまるのが遅いため、聞かれた質問に即座に答えられず「何がいいたいのか解からない」と思われてしまいます。
説明を受ける側も、何度も聞き直してようやく伝わるので時間を無駄にしやすいです。
スロースターターの性格
スロースターターの人は出だしが遅いので誤解されますが、最終的には追いついてくる力がある人です。
スタートダッシュの早いウサギのようなタイプの人は、「なぜこのタイミングで出ていけないのだろう」と思うこともあるでしょう。
ここでは、スロースターターの性格を解説します。
慎重派
じっくり・ゆっくり先を考えながら行動したい性格をしています。
なぜならミスをしないよう心がけているからです。
用心深く現実的なので、その場のノリで大事な約束をするような人ではありません。じっくり考えること、即決しないことで出だしが遅くなってしまうのです。
内向的
内向的な性格は人見知りの人が多く、人と打ち解けるまで時間がかかります。
就職試験の面接は苦手で、面接官を前に言いたい言葉がなかなか出てこないので本来の力が発揮できません。
また、1つのことに集中するので懸命に励みますが同時進行をすることが苦手です。なので同時進行が必要な仕事や家事にどうしても時間がかかってしまうのです。
忍耐強い
スロースターターは、自分の考えをしっかり持っている人です。
1つの目標に向かって地道に突き進む強さのある人です。うまくいかないことも簡単には逃げないので学校・部活・習い事・仕事はすぐには辞めません。
また、なかなか出来なくて注意されても忍耐強く聞き入れ文句を言いません。
臆病
ちょっとしたことで怖がってしまうことや尻込みしやすい臆病な性格をしています。
実際は違うのに、自分を卑下してみているので目の前にチャンスが現れても掴みにかかれません。
失敗したあとを考えると周囲の目が気になり、思い切った行動を取ることができないのです。
平和主義
人と争ってまで前に出ようとは思いません。言い争いやけんかが嫌いなので誰に対してもニコニコ愛想がいい人が多いでしょう。
自分と違う意見でも、反論せず相手に同調するので勝気で積極的なタイプの人から押しのけられてしまいます。
自分にとって不必要な問題を作ってまで動きたくはないのです。
スロースターターの恋愛傾向
スロースターターの人は「奥手」な人が多いです。
気持ちは誠実で一途なので浮ついた気持ちはなく、相手を裏切ることはしない人といえます。
ここではスロースターターの人の恋愛傾向についてもっと詳しく探ってみましょう。
自分からアタックしない
スロースターターの恋愛は自分からは告白をしません。
頭の中で「もしNOと言われたら・・」「他の恋人がいるかもしれない」などネガティブな思考でいっぱいだからです。
いい感じの人がいても、相手から告白してくれるのを待っています。相手も消極的なタイプの場合、なかなか進展がしにくいです。
結婚を視野にいれたお付き合い
誠実で愛情深い性格なので、恋愛=結婚まで結びつけて考えるタイプです。
いざ交際が始まったら一途で想い続けるので将来結婚まで視野に入れて考えます。それくらい一度好きになった人を思い続けられる人です。
お互い年をとっても仲良く支え合い、末永く幸せに過ごしたいと思うのです。
恋愛対象でない人からの告白に答えが出せない
スロースターターの人は優しく愛想がいいので異性からも人気があります。
今まで友達と思っていた人から突然告白されたからといって、「一応付き合っとく?」といったことはできません。
自分の気持ちに恋愛感情がないと「恋人」として認定できないからです。そのため答えが出ず相手を待たせてしまい、挙句しびれを切らして「いい加減答えを聞かせてくれない?」と迫られることもあるでしょう。
安定した恋愛がしたい
ドキドキする刺激的な恋愛より、お互い愛し愛される安定した恋愛関係を好みます。
恋愛中はもちろん結婚したあと、他の異性と秘密の恋をする人をみると心配になります。三角関係・W不倫と自分と相手以外にも絡む恋愛では落ち着かないからです。
たった1人、安心できる人をパートナーにしたいと考えます。
嫉妬深く相手を独占したがる
一途になりすぎて愛情深い反面、嫉妬深いところがあります。
思慮深いので、恋人が友好的に異性と話をしてるだけで「今、あの人のこといいなと思った」と思い込むところもあります。
「恋人は自分だけのもの」と思うので、自分以外の人に笑顔を見せるのが嫌なのです。
安定した恋人関係を望むのに、倦怠期に入り愛情のレベルに傾きが出たとき嫉妬や独占をするなどの可能性があります。
スロースターターの長所と短所
スロースターターなタイプの方が落ち着くと思う人もいれば、タイミングが合いにくいと感じる人もいるでしょう。
あなたの気になるスロースターターな人のことをもう少し詳しく知って頂けるように、ここでは長所と短所について解説します。
長所
一度決めたことは貫き通す
目標を決めたら簡単に諦めない心の強いところが長所です。
スロースターターは、スタートラインに立ったとき「目標」を立てます。
「仕事を3年は続けよう」「就職が決まるまでバイトは辞めない」など、それに向かって着実に歩もうとします。
目標の立て方が上手なので、途中でめげてしまうレベルまで無謀に上げることをしません。地道に積み上げていくので、小さな目標をクリアしやすく夢が叶いやすいといったメリットを持っています。
丁寧な仕事をする
1つの作業に集中して取り組むので、慣れるまで時間はかかりますが慣れてしまったらミスが少なく丁寧な仕事をします。
持ち前の集中力で小さなミスも見逃さないので、細かい作業も正確にこなせるようになります。徐々に周囲から信頼されるようになり、いつしか「かけがえのない人」と頼りにされるようになれるでしょう。
謙虚で協調性を持って人に接する
人の話は常に一歩下がって聞ける人です。相手は何が言いたいのか、主張したいことを聞いてどう思っているか考えながら聞きます。
このように相手を尊重して接することができる謙虚さを持っている人です。
人と争うことはしないので、自己主張したいときは一旦相手の話を聞いてから感情的にならず上手に伝えることができます。
短所
不器用
1度で2つ3つのことを同時進行できる器用さを持っていません。
学生時代は部活もやりたいしバイトもしたとたん、時間調整が厳しくキャパオーバーになり両立しにくいところがあります。
また1つのことに集中し周りが見えなくなることがあるので、気がつくと終了予定時間を過ぎその後の予定が狂うことが多くなります。
頑固で融通がきかない
相手の意見を覆すことはしませんが、自分の意志は何が何でも貫き通そうとする頑固な一面があります。
アバウトなことが苦手で、スピード重視を要するために「丁寧に洗わなくていい」と指示をされても自分自身納得いかなかったら「丁寧に洗いたい」気持ちが勝り、柔軟に受け止められません。
結果、「丁寧に洗って叱られる」といったデメリットが出てくるのです。
行動が遅い
あれこれ行動したいと思うのに考え込んで動くまで時間がかかることがあります。
例えば、どのような企業に応募したらいいのか分からず考えこんでいたら就活に出遅れてしまい卒業間際まで就活をしてしまうこともあります。
行動を起こす前に深く考え過ぎることで、出だしが遅くなりチャンスを逃してしまうことがあります。
スロースターターな人への対処法
あなたの身近な人にスロースターターと思われる人はいますか?
職場の人、家族になかなか動かない人がいるとイライラしたり心配になったりしますよね。
ここでは自分とは違う、スロースターターな人への対処法をお伝えします。
どのように考えたら楽に受け止められるのか一緒に考えてみましょう。
人の持つ時間はみんな同じではない
あなたの5分は5分でも、スロースターターの人にとっての5分は10分かかる場合があります。人それぞれ身体の中に持つ時間の動き方は、1人1人違うからです。
器用でスピーディーな人は朝飯前で出来てしまうことも、人によっては朝飯前で出来ない人もいます。
スロースターターにイライラするときは、「スロースターターは身体の時計がゆっくり動く人」として考えてみましょう。
信じて見守る
周囲にいる年齢の若い人になかなか着手せず行動に起こさない人がいた場合、イライラせずまずは信じて見守りましょう。
例えば就活に失敗しその後ずっとバイト生活だった場合親は将来を心配するでしょう。
子供は子供なりに考えているところかもしれません。信じて一定期間見守ることで、じっくり考える時間を持たせましょう。
慎重でミスが少ない個性を生かす
職場にスロースターターがいた場合、じっくり集中できる仕事を任せるといいでしょう。
慎重でミスが少ないので、1つのことに集中できる作業や細かい作業に向いています。
作業工程も1つずつ丁寧に伝えます。
また、仕事が解り難い場面でも質問するタイミングを逃してしまうので、仕事の質問がしやすいように「分らないことはそのままにしないで必ず質問してください」と念を押して伝えて下さい。
エールを送る気持ちで「尻を叩く」
物事を楽観視して行動に移さない人もいます。そのような場合は上手に尻を叩いてみましょう。
やる気をだす伝え方をすることや、時間は戻ってこない現実を話すことも有効です。
「面倒なことは先に済ますと後が楽だよ」と、雑談中にサラッと言うことや、「若い頃、こんなことやっておけば良かったな」などさりげなく話してみましょう。
相手の長所や目的を伝える
スロースターターは自分の目的や目標が明確でないこともあり、何をすればいいのか分らないことがあります。
あなたから見て、スロースターターの長所や得意なことを伝えると目標・目的に向かって歩き始めるかもしれません。
自分の長所はなかなか気がつきにくいものです。
第3者がスロースターターの人の長所を伝えることや目指す場所など伝えることで刺激になります。
スロースターターな性格を改善する方法や対策
性格的に面倒なことが嫌いなことやのんびり屋さんなのか、なかなか着手できず気がつくと焦ってしまう場面が多いことはありませんか?
心の中では時間通りに出たいしやらなくてはいけないことはさっさと片づけたい・・。
でも、どうしたらいいのか分らない・・いろいろ考えて悩んでしまいますよね。
ここでは、スロースターターな人が思うように行動できる方法や対策を紹介します。
ウエイトの重いタスクから着手する
複数の仕事を任されたとき、どこから着手したらいいのか分らないときに使える方法があります。
夏休みの宿題を思い出して下さい。
すんなり出来そうな宿題もあれば、1番苦手な宿題もあったはずです。この場合、1番苦手な宿題を7月中に終わらせれば8月は精神的にも楽に過ごせます。
このような方法を「ワースト・ファーストアプローチ」といって、不快な作業を先に着手すれば、物事をスムーズに終われるという方法なのです。
時間の余裕が心の余裕を生む
思い切って早く家を出て現地で時間を潰す気持ちで行動してみましょう。
起きる時間から早く動けば、時間や気持ちに余裕ができます。
スロースターターな人はスポーツでもいえますが、最初のアップが大事です。体をスムーズに動かすために準備運動をするように余裕を持って動きましょう。
心も身体も張り詰めていたら思うように動けません。肩に力を入れず、小さな目標もスムーズにクリアできるようになります。
会いたい人がいたら気にせず連絡する
思ったことはなるべく早く行動に移しましょう。
例えば、会いたい人がいたとして誘いたいけれど「断られるかもしれない・忙しいかもしれない」と考えているうちに時間はどんどんすぎてしまいます。
もし断られても、喧嘩別れした相手でなければタイミングが悪かっただけのことです。
人と繋がれるチャンスは掴んでいきましょう。
大事なことの前は同時進行せず支度に集中する
支度をするとき、食事をするときもなるべく静かな環境で行いましょう。
スロースターターな人の特徴に、同時進行が苦手な一面があります。家を出ようと思った時に興味のあるネタがTVでやっていたらつい見入ってしまいます。
明日までに覚えなくてはならないことがあるときは、覚えることだけに時間を費やしましょう。何かをやりながら何かをすることは辞めましょう。
自己暗示をかける
過去の失敗などが原因でなかなか前に踏み出せない人もいるでしょう。
ポジティブに考えたって無駄と思わず、ここは自己暗示をかけてモチベーションを上げてみましょう。
スポーツ選手は「自分が勝つ」と自己暗示をかけている人がほとんどです。何かをはじめるとき、「大丈夫、私だったらできる」と念じてみましょう。
自己暗示にはあなたの潜在能力を引き出す効果があります。「大丈夫」と念じれば思った以上の成果が出せるのです。
スロースターターに向いてる仕事とは
スロースターターな人は真面目に仕事をする人ですが、スピード重視の職業ではなく静かな環境で慌ただしくない仕事に向いています。
マルチタスクではなく、シングルタスクの仕事を選ぶといいでしょう。
ここでは、スロースターターな人に向いている仕事3選をご紹介します。
品質管理
品質管理の仕事はものの品質を検査し保証する仕事です。
不良品をお客様に出さないよう、しっかりとした管理チェックが必要となります。
1つのことに集中し、細かな作業でも苦ではない責任感の強いスロースターターには向いています。
お客様や社内メンバーと関わるので、穏やかな性格で上手にコミュニケーションが取れるスロースターターな人は適任といえます。
職人
一人前の職人になるには、長い期間が必要です。
弟子の期間は、職業にもよりますが早くて数年の修業が必要です。修業は厳しく給金も安いため、本気でやる気のある人でないと難しいでしょう。
また、やる気があっても親方の指導を素直に聞ける性格でないと厳しいです。
その点、スロースターターな人は、昔からのやり方を忠実に身に着けようと雑用でも修業の一環として懸命に動ける人です。
職人の世界にやる気があれば、向いている職業の1つといえます。
カウンセラー
悩んでいる人に真摯に向き合い、相手を尊重しながら話が聞けるのでカウンセラーに向いています。
また自分の価値観を押し付けないので、相談する側は相談がしやすく不安や不満が解消できます。
相談者の話を聞き解決へ導くことを目的とするので、相談者の悩みに共感はしますが一緒になって落ち込んで冷静さを失うようなことはしません。
スロースターターの能力を諦めないことが大事
いかがでしたか?
スロースターターな人の新たな発見はありましたか?
器用で要領のいい人は、自信があり呑み込みが早いので期待の新人と讃えられるでしょう。
最初にうまくいかず要領の悪い人は、わざと遅くやっているわけではなく過去の失敗を警戒して慎重になっているのでしょう。
またスロースターターな人は、知識や情報を仕入れているためにスタートが遅れてしまうタイプの人もいるということも分かりました。
もし、なかなか上達しないと嘆くことがあっても波に乗るまで充電期間と思い、スロースターターな人を信じてみてもいいのかもしれません。