ゆとり世代に対して、マイナスイメージを持っている方は少なくありません。また、「これだからゆとりは…」などと批判的な言葉を直接投げかけられ、嫌な気持ちをしたことのあるゆとり世代の人達もいることでしょう。それくらい、「ゆとり世代=社会性がない」と思われがちなのです。
今回は、ゆとり世代について紹介していきます。
ゆとり世代の特徴、優秀だと言われる理由と「やばい」と言われる理由、更に、ゆとり世代の仕事に対する考え方についても解説していきます。
目次
ゆとり世代の年齢と意味は?
ゆとり世代とは、1987年から2004年頃に生まれた人達のことを指します。現在、30代半ばから20代後半の人達が該当します。
ゆとり世代の意味は、その名の通り「ゆとり教育を受けた世代」です。かつての日本の義務教育は「詰め込み型」が主流となっていましたが、子ども達の負担を軽減するために「土曜授業の廃止」「学習内容の削減」「相対評価の廃止」などのゆとりのある教育が2002年度からスタートします。しかし学力低下などが問題視されたことにより、2011年3月にゆとり教育は終了しました。
ゆとり世代とさとり世代の違い
さとり世代は、1996年頃から2005年頃に生まれた人達のことを指しています。ゆとり世代との大きな境目はありませんが、厳密に言うとゆとり教育が終了し、脱ゆとり教育を経験した人達がさとり世代と表現されることが一般的でしょう。
ゆとり世代とさとり世代には、その特徴にも大きな違いはありません。しかし、さとり世代の方がジェンダーレス・男女平等であることを意識し、「男だから」「女だから」ということに捉われず自由に振る舞う傾向が強いです。また、ゆとり世代よりもテクノロジーの進化の影響を受けているとも言われています。
ゆとり世代の次は?
ゆとり世代の次の世代は、「Z世代」と言われています。1996年頃〜2015年頃までに生まれた現在10代〜20代中頃の人達のことを指しています。
Z世代の人達は、インターネットなどが幼い頃から身近に存在し、当たり前のように活用しているだけでなく、真偽の不明な情報に振り回されることのないネットリテラシーの高さを持っていることが大きな特徴でしょう。また、少子化により同世代の人口が少ないため、ゆとり世代に比べて進学や就職によって不安を感じることのない安定した日々を送ってきました。
ゆとり世代の特徴
ゆとり世代にマイナスな印象を持っている方は少なくないでしょう。しかし、ゆとり世代の人達は決して悪いところばかりではありません。基本的には柔和で、争いごとを好まない心優しい人達なのです。
ここでは、ゆとり世代の特徴について詳しく解説していきます。
自分の世界を大切にする
ゆとり世代の人達は、世間体や世の中にはびこる固定観念にとらわれず、自分の世界を大切にすることが特徴的です。
極端な言い方をすれば、「人に興味がなく自分のことが一番好き」ということでしょう。しかし、それは決して悪いことではありません。人の目を気にすることなく伸び伸びと自分の世界を作り上げていくため、基本的に情緒が安定しています。
マイペースでおおらか
ゆとり世代の人達は非常にマイペースではありますが、わがままを言って人を振り回すことはまずありません。また、人の意見をちゃんと聞き入れてあげられるおおらかさも兼ね備えています。
そのおおらかさで、周囲の人達からは「一緒に居て落ち着く」「何でも話せる」と安心感を与えることもできるでしょう。
ブランド物・高価な物に興味がない
ゆとり世代の人達は、ブランド物など高価な物に価値を見い出せず、全く興味がないという人が多いでしょう。
ゆとり世代にあたる人達は、日本のバブルが崩壊し不景気の状態の時代に生まれたため、「無駄使いをしない」という考えを大人になっても引きずっている傾向があります。「このブランドバッグを買ったら数か月分の食費が消える」などと、つい現実的なことを考えてしまうのです。
競争心がない
ゆとり世代の人達の多くは、幼少期から人と競い合うことを強いられてこなかったため、競争心がないという特徴があります。
「人を押しのけてまで前に出たいとは思わない」そんな平和的思考を持っている反面、「なんとしてでも成功を掴みたい」といった熱い気持ちは持っていません。そのため、特に男性の場合は「男らしくない」「頼りない」と思われてしまうこともあるでしょう。
おとなしい
ゆとり世代の人達は、控えめで大人しい人が多いです。
だからといって、決して「暗い」「陰気」というネガティブなイメージを持たれてしまうわけではありません。自己主張することがあまりないから、「口数が少ない人」と思われてしまうだけです。ただ、おとなしくてあまりにも自分の意見を言わないので、周りの人達に「我慢してるのかな?」と気を使わせてしまうこともありますが、本人は「自己主張して揉めたくない」と思っているだけなのです。
ゆとり世代は優秀だと言われる理由
ゆとり世代に該当する人達の多くは、「これだからゆとりは…」と影で噂されることも多かったでしょう。しかし、ゆとり世代も働き盛りの年齢になった今「優秀な人材」と他者から認められることも多くなってきました。
ここでは、ゆとり世代は優秀だと言われる理由について解説していきます。
独創性がある
ゆとり世代が優秀だと言われるのは、創造力が豊かで誰も思いつかないような独創的なアイディアを持っているからです。
ゆとり世代には独自の世界観を持っている人が多く、それは大いに仕事にも活かされます。特に映像制作などのクリエイティブで自由な業界では、ゆとり世代の人達が多く活躍していると言われています。
合理的
ゆとり世代の人達が優秀と言われるのは、考え方が合理的なため、どんなことでも効率よくこなせることも要因の一つです。
ゆとり世代の人達は、非常に冷静沈着です。不景気の世の中を幼い頃から見てきたからこそ、感情的になって無駄に浮かれたりすることがないのでしょう。効率重視のやり方は、どのような仕事においても重宝されます。
ITに強い
ゆとり世代にとって、インターネットツールは常に身近にあって当たり前のものです。プライベートだけでなく仕事においても、ITを有効活用することができます。
インターネットを使って難なく情報収集・発信を行い、事業を発展させることができるほどITスキルが高い人も少なくはありません。
指示にはきちんと従う
ゆとり世代は、会社・上司からの指示にはきちんと従います。自分のやり方を押し通そうとせず、意見もあまり持たないので、「扱いやすい社員」と会社からは重宝され、「可愛い部下」と上司からは気に入られるのです。
ゆとり世代より前の世代の人達は、自分の思う方法で業務を進行したがる傾向がありますが、時にそれは周囲との摩擦を生む原因ともなるでしょう。
慎重に仕事に取り組む
ゆとり世代はとても真面目なため、失敗しないよう慎重に仕事に取り組む傾向があります。その甲斐あってかやはりミスは少なく、優秀な人材であると評価されることが多いです。
慎重でなおかつ効率主義であるため、失敗がない上に業務を終わらせるのが早いというポテンシャルの高さを備えています。
ゆとり世代はやばいと言われる理由
ゆとり世代が職場で「やばいやつ」と噂されてしまうのには、様々な原因があります。マイペースで人にあまり興味がなく、更に帰属意識も薄いため、組織では浮いた存在になりがちです。また、指示にはきちんと従うという長所は、時に欠点となることもあるでしょう。
ここでは、ゆとり世代はやばいと言われる理由について詳しく解説していきます。
協調性がない
ゆとり世代は基本的にマイペースであるため、協調性に欠けるところがあります。部署内で他の人達が仕事に追われていても、自分の業務に集中しすぎて周りが見えておらず、「手助けしてくれない人」というレッテルを貼られてしまうこともあるでしょう。
周りと足並みを揃えることが困難で、周囲の人達に悪く思われることが少なくはありませんが、本人は人からの評価をあまり気にしていません。
繊細でストレスに弱い
ゆとり世代は学生時代に人と競争することとは無縁だったためか、繊細な性格をしています。そのためストレスに弱く、上司から厳しく叱責されると精神的に大ダメージを受けてしまう傾向があるのです。
本来なら「お説教されたけど頑張ろう」と持ち直すような場面でも、「もう無理…」と退職まで考えてしまうため、周りの人達から理解されにくいのでしょう。
積極性が低い
ゆとり世代は基本的に仕事に対して自分の意見を持つことがなく、積極性が非常に低いです。積極的に取り組まないのは「収入を得るためだけに仕事をしている」という気持ちがあるからでしょう。
当然そのような考えでは何の意見も思い浮かばず、自分なりのポリシーを持つこともないので、場合によっては「やる気のない人」と嫌悪されてしまうこともあります。
指示がないと何もできない
ゆとり世代は指示通りにきちんと業務をこなすことはできますが、逆に言うと指示がないと何もできないという困った人達も少なくありません。
指示待ちは新入社員なら許されますが、会社に在籍してある程度の年数が経っているのに言われないと動けない人は、上司にとってはお荷物で「めんどくさいやつ」と思われても仕方ありません。
コミュニケーション能力が低い
ゆとり世代がやばいと言われるのは、コミュニケーション能力の低さも要因となっているでしょう。
仕事に対して積極的ではないのと同じように、職場の人達とも積極的にコミュニケーションをとろうとはしません。自分の世界に浸るのが好きなので、職場の人間関係を煩わしいとさえ思っているのでしょう。本来は明るい性格なのに、「感じが悪い」と思われてしまうことも少なくありません。
ゆとり世代の仕事に対する考え方
「職場にいるゆとり世代の社員が、何を考えているか分からない…」そうお悩みの方も少なくないでしょう。ゆとり世代を境に仕事に対する考え方は大きく変化したため、「理解できない」と思ってしまうのも無理はありません。
ここでは、ゆとり世代の仕事に対する考え方について解説していきます。
プライベートの方が大切
ゆとり世代の人達は、基本的に「仕事よりもプライベートの方が大切」と考えています。
ゆとり世代より前の世代の人達の多くは、会社や社会に貢献すること・プライベートより仕事を優先することが「立派な大人」という価値観を持っています。ゆとり世代はそれとは全く違い、プライベートを充実させるための働き方を模索する傾向があります。あくせく働くことよりも、それなりの給料をもらえて趣味や大切な人との時間を謳歌できることを望んでいるのです。
言われたこと以外やる必要がない
ゆとり世代が指示待ちをするのは、言われたこと以外やる必要がないと思っているからでしょう。
ゆとり世代は超合理的なため、「無駄に動きたくない」と思っている傾向があります。仕事においてももちろんそのように考えていて、逆に「指示待ちすることの何がダメなのか?」と、疑問にさえ思っているでしょう。
出世は特に望んでいない
ゆとり世代の多くは、組織内で出世することは特に望んでいません。
ゆとり世代以降の人達は成功や名誉を掴んで優越感に浸りたいという願望が薄く、それよりも心が動かされるような楽しさや喜びを人生に求める傾向があります。組織の中で立場が上になったところで感動はないし、何なら責任を負わされるだけで煩わしいとすら考えているのです。
安定感を求めている
ゆとり世代の多くは、基本的に仕事には安定感を求めています。
仕事・趣味・友人関係や恋愛などを全て分けて考えていて、仕事は「刺激を求める場所」には該当しないのでしょう。そのため淡々と業務をこなすだけで、自ら新しいやり方にチャレンジすることはありません。ルーティンワークにも不満を持たず、冷静沈着なので「それが仕事というもの」と割り切っています。
人間関係がめんどくさい
ゆとり世代は基本的に真面目なので、仕事はコツコツと頑張ることができます。ただ、「職場の人間関係がめんどくさい」という思いを拭い去ることができず、周りの人達をつい遠ざけてしまう傾向があります。
確かに、職場の人間関係はこじれてしまうと非常に厄介です。ゆとり世代はここでも合理主義を発揮し、「面倒なことになるくらいなら、初めから関わらないでおこう」というスタンスをとっているのでしょう。
「ゆとり世代だから」と決めつけないことが大切
「あいつはゆとり世代だから使えない」そんな風に、本人のことを深く知りもしないのに決めつけてしまうのはよくありません。一口にゆとり世代と言っても、人の性格や能力は千差万別です。ゆとり世代だからといって期待値を下げてしまうと、本当は素晴らしいスキルを持っているのに見落としてしまう可能性もあります。
「ゆとりはダメ」「ゆとりは仕事ができない」このような世の中にはびこる固定観念に振り回されず、どんな世代の人であっても平等に見ることが大切なのです。